司法書士 太田 徹
この記事を書いた人

(所属会)愛知県司法書士会 会員番号2133・簡裁訴訟代理等関係業務 認定番号第1801503号・一般社団法人日本財産管理協会
(経歴)20代から司法書士試験の勉強をしながら司法書士事務所で補助者業務に従事する。平成29年度に司法書士試験合格。愛知県岡崎市の司法書士法人で司法書士として4年間実務経験を積む。令和4年、すでに開業していた父の社会保険労務士事務所と合同という形で、太田合同事務所を開業。

趣味)競馬観戦(ギャンブルはしません。昔社台ファームで働いていました)、サッカー観戦(セリエA、プレミア、Jリーグが好きです)、子供と遊ぶこと(娘が2人います)

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    相続登記義務化について

    相続登記義務化の猶予期間の話の前に、そもそも相続登記義務化とはどんな制度なのか?
    別の記事で解説していますのでそちらをご覧ください。

    猶予期間とは?

    相続登記義務化については、ある程度ご理解いただけたかと思います。
    では、相続登記義務化の猶予期間についてです。

    そもそも猶予期間とは、相続登記の手続きの完了を猶予してくれる期間ということです。
    令和6年4月1日から相続登記が義務化されましたから、義務を履行しなければなりません。

    通常であれば、直ぐに名義変更手続き(相続登記)をするべきですが、様々な事情で出来ない場合があります。
    このような場合に、被相続人の死亡を知った時から3年間は猶予してもらえるのが相続登記の猶予期間です。

    法律では以下のように定められています。

    不動産登記法 第七十六条の二 
    所有権の登記名義人について相続の開始があったときは、当該相続により所有権を取得した者は、自己のために相続の開始があったことを知り、かつ、当該所有権を取得したことを知った日から三年以内に、所有権の移転の登記を申請しなければならない。遺贈(相続人に対する遺贈に限る。)により所有権を取得した者も、同様とする。

    遺産分割を伴う相続登記の猶予期間

    相続手続き(相続登記)の多くは、遺産分割を伴います。
    相続登記でも遺産分割協議をしてその結果に基づいた、相続登記をすることになります。

    本来は法定相続人が3人(配偶者と子供2人など)でも、遺産分割協議の結果、子供のうちの1人がすべての土地や建物を取得するということは、よくあるケースです。

    ではそのようなケースでは、相続登記義務化の猶予期間はどうなるのでしょうか?

    通常の相続登記義務化の猶予期間は、上記で示した通り、自己のために相続の開始があったことを知り、かつ、当該所有権を取得したことを知った日から三年以内です。
    ですが、遺産分割を行った場合には、猶予期間の起算点(3年の期間がスタートするタイミング)が変わります。

    また相続登記の基本的義務(不動産登記法第76条の2第1項)の期間内に遺産分割が成立した場合と成立しなかった場合で猶予期間の考え方が違いますので、1つずつ説明していきます。

    基本的義務期間内に遺産分割が成立した場合

    (引用元 法務省HP)

    基本的義務期間内に遺産分割が成立した場合には、上の図でもわかる通り、遺産分割が成立した時から3年以内に遺産分割協議の内容を踏まえた相続登記をする必要があります。
    ㋑の部分がそれに当たるわけですが、㋑が2つに分かれているのは、理由があります。

    遺産分割協議を伴う相続登記を行う場合には、2つのパターンがあります。
    1つは、1度の相続登記で、遺産分割協議の内容を踏まえた登記をしてしまう場合。
    もう1つは、法定相続分の登記(例えば、配偶者4分の2、長男4分の1、次男4分の1などの法定相続分通りの持分で名義を入れる登記)をしてから、遺産分割協議で不動産を取得することになった相続人に持分を全て移転させるという登記です。

    実務上では、1度の相続登記で、遺産分割協議の内容を踏まえた登記をしてしまう方法が主流で、あえて法定相続の登記を一度いれるというやり方はしません。

    仮に何かしらの理由で、法定相続登記や相続人申告登記をしている場合でも、遺産分割協議から3年以内に遺産分割協議の内容を踏まえた相続登記をしなければなりません。

    基本的義務期間内に遺産分割が成立しなかった場合

    (引用元 法務省HP)

    基本的義務期間内に遺産分割協議が成立しなかった場合でも、基本的義務期間内に法定相続登記若しくは相続人申告登記を行う必要があります。
    その後
    基本的義務期間経過後に遺産分割協議が成立した場合には、その時から3年以内に相続登記を行う必要があります。

    つまり、基本的義務期間内に遺産分割協議が成立しない場合でも、必ず基本的義務期間内に、法定相続登記か相続人申告登記を入れるため、登記件数が2件なるということです。
    基本的義務期間内に遺産分割が成立した場合のように1件でできませんので、登記件数が2件になるということは、費用もその分多くかかることになります。

    遺言書があった場合

    (引用元 法務省HP)

    遺言書があった場合には、通常遺産分割協議は行わず、遺言書の記載通りに相続手続きをしていくことになります。
    上記の通り、遺言書がある場合には、遺産分割協議のように複雑ではありません。

    非常に明確で、遺言書によって該当する不動産を取得することになった人が不動産を取得したことを知った日から3年以内に遺言内容を踏まえた登記申請をする義務を負います。
    (不動産登記法76条の2 1項)

    司法書士太田合同事務所からのアドバイス

    相続登記の猶予期間は、相続登記の内容(遺産分割協議、遺言書、法定相続など)により違いがあるため、注意が必要です。

    基本的義務に関しては『自己のために相続の開始があったことを知り、かつ、当該所有権を取得したことを知った日から三年以内』ですが、あくまでもこれは、基本的義務ですので、安易にこれだけに従うのではなく、ご自身が行う相続手続きがどれにあたるのかを把握して正確な相続登記の期限を知るようにしましょう。

    特に遺産分割協議を伴う相続登記のケースでは、事案に応じて登記義務期間の起算点が異なりますので、注意が必要です。
    遺産分割協議のケースでは、相続人のなかに認知症等の意思能力に疑いの余地がある方がいたり、相続人のうちの誰かが登記をしないうちに、死亡してしまったりすると遺産分割協議自体がいちからやり直しになるリスクもあります。

    ですので、遺産分割協議に伴う相続登記のケースでは、遺言書や法定相続分の相続登記のケース以上に迅速に協議と登記手続きをすることをお勧めします。

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