司法書士 太田 徹
この記事を書いた人

(所属会)愛知県司法書士会 会員番号2133・簡裁訴訟代理等関係業務 認定番号第1801503号・一般社団法人日本財産管理協会
(経歴)20代から司法書士試験の勉強をしながら司法書士事務所で補助者業務に従事する。平成29年度に司法書士試験合格。愛知県岡崎市の司法書士法人で司法書士として4年間実務経験を積む。令和4年、すでに開業していた父の社会保険労務士事務所と合同という形で、太田合同事務所を開業。

趣味)競馬観戦(ギャンブルはしません。昔社台ファームで働いていました)、サッカー観戦(セリエA、プレミア、Jリーグが好きです)
子供と遊ぶこと(娘が2人います)

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    相続放棄とは

    もし法定相続人の中に、相続資産を引き継ぎたくない人がいる場合に、重要になってくることです。
    被相続人(亡くなった方)に借金があった場合には、なにもしなければその借金は、相続人に引き継がれることになります。
    相続放棄をする理由として多いのは、被相続人に借金がある場合です。

    相続放棄は家庭裁判所でする公的な手続きになります。
    相続放棄をすると法的には、相続人が被相続人の権利や義務を一切受け継がないことになります。

    預金、現金、不動産などの資産を一切引き継がない代わりに、借金などの負債も引き継ぐ必要はなくなります。

    相続放棄は、法定相続人が格別に行います。(相続人が未成年者または成年被後見人である場合には、その法定代理人が代理して申述します。)
    また期限が法律で定められており、民法により自己のために相続の開始があったことを知ったときから3か月以内にしなければならないと定められています。

    手続きは、被相続人の最後の住所地の家庭裁判所にします。

    1つ注意が必要なのは、相続人の1人が相続放棄をしても、他の相続人に影響はないため、万が一借金などがあった場合には、他の相続人に相続権が移り、借金を引き継ぐ事態になってしまうため注意が必要です。

    (参照 裁判所HP

    相続放棄の期限

    上記で記載した通り、相続放棄は、家庭裁判所で行う手続きですが、期限があります。
    期限を経過してしまうと、相続放棄が出来なくなってしまいますので注意が必要です。

    民法では、自己のために相続の開始があったことを知ったときから3か月以内にしなければならないと定めています。
    この相続放棄の期限のことを、法律上は「熟慮期間」と言います。
    そしてこの熟慮期間がスタートする時点を起算点と呼ぶのですが、この起算点がいつになるかで相続放棄が出来る期限が決まってきますので、非常に重要なポイントになります。

    同居をしている親族で配偶者や子供などであれば、通常被相続人が亡くなった時点で死亡の事実を知りなおかつ自分が相続人になることは覚知できますので、被相続人の死亡日ということになるでしょう。

    問題は、3ヶ月を経過した後に多額の借金などが貸金業者からの請求で発覚して、期限が形式的に経過している場合ですが、このケースでも過去の裁判例では、自己が相続人であることを覚知していても債務(借金)の存在を知らなかった場合には、熟慮期間の繰り下げる余地を認めています。(最判昭和59.4.27)

    裁判所が繰り下げを認める認めないは、様々な判例が出ているのですが、相続人と被相続人の生前の交流状況、借金の内容が被相続人の生活状況から想定できるものか否か、相続財産の調査の容易性等が判断材料になっているようです。

    相続放棄の必要書類

    相続放棄は家庭裁判所での手続きが必要になります。
    裁判所には戸籍等の書類を提出する必要があります。
    以下が相続放棄手続きで必要な書類です。

    【共通】
    1. 被相続人の住民票除票又は戸籍附票
    2. 申述人(放棄する方)の戸籍謄本

    【申述人が、被相続人の配偶者の場合】
    3. 被相続人の死亡の記載のある戸籍(除籍、改製原戸籍)謄本

    【申述人が、被相続人の子又はその代襲者(孫、ひ孫等)(第一順位相続人)の場合】
    3. 被相続人の死亡の記載のある戸籍(除籍,改製原戸籍)謄本
    4. 申述人が代襲相続人(孫、ひ孫等)の場合、被代襲者(本来の相続人)の死亡の記載のある戸籍(除籍、改製原戸籍)謄本

    【申述人が、被相続人の父母・祖父母等(直系尊属)(第二順位相続人)の場合(先順位相続人等から提出済みのものは添付不要)】
    3. 被相続人の出生時から死亡時までのすべての戸籍(除籍、改製原戸籍)謄本
    4. 被相続人の子(及びその代襲者)で死亡している方がいらっしゃる場合、その子(及びその代襲者)の出生時から死亡時までのすべての戸籍(除籍、改製原戸籍)謄本
    5. 被相続人の直系尊属に死亡している方(相続人より下の代の直系尊属に限る(例:相続人が祖母の場合、父母))がいらっしゃる場合、その直系尊属の死亡の記載のある戸籍(除籍、改製原戸籍)謄本

    【申述人が、被相続人の兄弟姉妹及びその代襲者(おいめい)(第三順位相続人)の場合(先順位相続人等から提出済みのものは添付不要)】
    3. 被相続人の出生時から死亡時までのすべての戸籍(除籍、改製原戸籍)謄本
    4. 被相続人の子(及びその代襲者)で死亡している方がいらっしゃる場合、その子(及びその代襲者)の出生時から死亡時までのすべての戸籍(除籍、改製原戸籍)謄本
    5. 被相続人の直系尊属の死亡の記載のある戸籍(除籍、改製原戸籍)謄本
    6. 申述人が代襲相続人(おい、めい)の場合、被代襲者(本来の相続人)の死亡の記載のある戸籍(除籍、改製原戸籍)謄本

    上記のように、ケースによっては、多数の書類を必要とするため注意が必要です
    相続放棄は期限がありますので、期限内に書類が集められるように迅速に対応する必要があります。

    相続放棄の費用や流れ

    相続放棄をするには費用がかかります。
    具体的には以下のようなものになります。

    戸籍等の取得費用

    必要書類として、戸籍等を裁判所へ提出するため、市役所などで戸籍を取得しますが、その際に市役所等へ支払う手数料がかかります。
    1通につき戸籍謄本は450円、除籍謄本等は750円がかかります。
    相続放棄で使用する、戸籍の通数はケースによって異なりますので、通数はそれぞれですが
    仮に10通程度取得すると、約7000円~8000円程度の費用がかかります。

    裁判所へ支払う手数料

    相続放棄の申し立てを裁判所にする場合には、収入印紙と予納郵券(郵便切手)を納める必要があります。
    申述人(相続放棄をする人)1人あたり、800円の印紙代と400円程度の切手代がかかります。

    司法書士報酬

    前提として、相続放棄手続きなどの裁判所での手続きは、ご自分で申請することもできますが、仮に司法書士などの法律専門職に手続きを依頼した場合には、専門職へ支払う報酬が発生します。

    報酬体系や金額は、事務所によりマチマチですが、申述人1人につき3~5万円という事務所さんが多いようです。
    申述人の人数が複数名のケースや戸籍の取寄せも専門家に依頼する場合には、その分の費用もかかるでしょう。

    司法書士へ依頼した場合の手続きの流れ

    1
    お問い合わせ

    相談概要をお聞きし、面談の際にお持ちいただく、資料等をお伝えします

    2
    相談・ご依頼

    改めて、ご相談内容を伺い、お見積りを提示して問題なければ、手続きに着手します

    3
    相続放棄申述書の提出

    相続放棄申述書にご署名をいただいて、取得した戸籍などと一緒に裁判所に提出します。

    4
    照会書の対応

    裁判所から照会書が届きます(ケースによっては、電話で連絡してくるところもあります)ので照会書に記載をして頂いて裁判所に返送していただきます。その際の記載内容やご相談に司法書士が応じます。

    5
    相続放棄申述受理通知書の受取

    裁判所から、相続放棄が無事受理されたことを証明する書類が届き、手続きは完了します。別途、相続放棄申述受理証明書が必要であれば、そちらの手配も致します。

    司法書士太田合同事務所からのアドバイス

    以上が相続放棄に関することでした。
    いかがでしたでしょうか?

    弊所でも普段、相続放棄のご相談に来られるお客様は、たくさんいらっしゃいますが、ほとんどのケースで相続放棄をしたい理由は、亡くなった方に借金があって引き継ぎたくないから、という理由です。

    期限がある手続きですので、期限内に必要書類を集めて、なおかつ申述書を作成したうえで、それを裁判所に提出しなければならず、手続きをする方にとっては、精神的な負担の大きな作業になります。
    仮に必要な戸籍が遠方の自治体にある場合には、戸籍の郵送請求をしなければならず、一般の方にとっては難しい作業になると思います。

    専門家にご依頼いただければ、急ぎの手続きでも正確かつ迅速に対応してくれるでしょうし、万が一期限が経過してしまった場合の対応なども教えてくれるでしょう。

    手間をかけずに安心したい方や、たくさんの戸籍取寄せが必要だったり、期限が差し迫っていたり、被相続人の死亡から3ヶ月過ぎてしまっているような特殊なケースでは、専門家に依頼されることをおすすめします。

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